ビル売却の注意点 ~滞納家賃がある場合~

ビルオーナーにとって賃借人が家賃を滞納している場合、大変なストレスです。特にビルの管理を外注せず、自主管理しているオーナーにとっては大きな悩みとなります。滞納家賃があると、当然ですが売却にも影響がでます。所有するビルがこのような状態に陥り、管理の煩雑さとストレスが売却理由になることもよくあるはなしなのです。では滞納家賃がある状態でビルは売却できるのでしょうか?できるとすると、どのように売却すればいいのでしょうか?今回は小規模ビルでよくある、滞納家賃がある場合の売却についてのコラムです。


滞納家賃があるビルを売却するときの注意点 その1 滞納家賃の回収

結論からいうと売却できます。
しかしながら、その状態で売却すると当然に買主から足元を見られます。
投資目的の収益物件としてあなたのビルを評価すると、家賃を滞納している賃借人が入居していることは大きなマイナスであり、対応が必要だからです。
ではどうすれば足元を見られずに売却できるのでしょうか?
これには考え方の違いが鮮明に現れます。
時間をかけて滞納家賃を回収し、再発を予防する、またはその賃借人に退去してもらうなど、あなたが自身で対応し、滞納家賃がない状態にしてから売却するのであれば問題はありません。
しかし、果たしてそのような正常な状態に戻すには、一体どれほどの費用と時間を要するのでしょうか?
債権回収や退去を司法書士や弁護士に依頼し、長い時間と相応の費用をかけて問題を解消するのでしょうか?
あなたが所有のビルの売却予定がなく、保有を続ける前提であれば上記対応をすべきですが、売却するのにそこまで対応する必要があるのでしょうか?
したくないですよね。

滞納家賃があるビルを売却するときの注意点 その2 売却方法

では滞納家賃がある状態で売却するにはどうすればいいのでしょうか?
答えは単純です。
単にありのままの状態で買ってくれる買主を見つければいいだけです。
原則として、賃料債権はビルの引渡日を以て帰属が変わります。
引渡日の前日までがあなた、引渡日からが買主です。
滞納家賃がある場合、その滞納分はどのように処理するのでしょうか?
滞納家賃総額をあなたの権利とすると、同額を売買代金に加える、ということになりますが、実質的に不良債権化している滞納家賃は100%回収できる可能性は低いです。
この前提では、①あなたが滞納家賃を放棄する、②滞納家賃の債権者として回収する、③将来回収できた場合に回収額の一部を受け取る、という対応があります。
そもそも滞納家賃は不良債権です。
正常債権(契約通りに支払われている家賃)が不良債権化した時点で債権価値は下落します。
ですので回収費用がかかり、回収できるかもわからない滞納家賃を満額で債権譲渡することはできないのです。
滞納家賃の回収は滞納期間にもよるので一概には言えませんが、賃借人が夜逃げして連絡がつかず、室内には残置物が山積されており、これらの廃棄や原状回復に多額の費用がかかることもざらです。

滞納家賃があるビルを売却するときの注意点 その3 滞納家賃と保証金

個人オーナーが所有する小規模ビルの場合、保証金は月額家賃の2~6か月分が大半です。
この場合、原状回復費用を考慮すると、家賃の滞納が始まった時点で赤字がほぼ確定してしまうのです。
ですのであまり感情的にならず、そのままで売却してしまったほうが労力も時間もかからず、精神的にも楽なのです。
このような状態の物件を買う投資家はある程度経験を積んでいる方なので、餅は餅屋に任せ、あなたはいばらの道を進むよりも精神的苦痛と、大げさですが経済的不自由から解放されたほうがはるかにいいのです。
義務を履行せず、権利ばかり主張する賃借人には法的措置を講じるしかありませんが、法的措置の難点はとにかく時間がかかることです。
また、法的措置を講じて無事に支払命令を勝ち得たとしても、賃借人に破産されたり、支払う原資(要はお金です)がなければ絵に描いた餅で終わるのです。
見切り千両が大事です。

上記より、滞納家賃があるビルでも売れますので全く気にする必要はありません。
安心してください。
あなたがご高齢であったり、ビルが老朽化していたり、空室が多かったり、といった他にもストレスを感じる要素や大きなお悩みがある場合に、滞納家賃が発生したら、それは売却のいい機会かもしれません。
弊社ではオーナー様の立場でお悩みを共有し、現実的な解決策をご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。

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tomita