空き家を売りたい、手放したい 空き家売却の注意点

相続で受け継いだけれども、住む予定もない、建物が老朽化していて、住むにも貸すにも多額の修繕費用がかかるなど、空き家の運用は頭の痛い悩みの種です。しかし空き家の管理を怠ると資産価値が減少するだけではなく、将来的にさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。このような状態の場合は、売却することも最善策の一つです。不動産運用(賃貸)は考えているよりも大変です。不動産賃貸業、という立派な事業に分類されることからも明らかなのですが、簡単そう、と考える方は要注意です。で空き家をは売却する場合、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?
今回のテーマは「空き家売却の注意点」です。


空き家を売りたい、手放したい!その1 商品化?

相続などで空き家(戸建て)を受け継いだけれども、自宅以外に不動産を所有していないし、不動産を貸した経験もない、賃貸するのも面倒くさい!と考える方は多いのではないでしょうか。
また、日本人の相続資産の大半は不動産です。
相続したものの、相続税の納税原資(現金)がない場合は、相続不動産を売却するしかありません。
空き家を売却するにはどうすればいいのでしょうか?
まずは空き家の商品化です。
商品化?となったあなた、当然です。
既に商品化してるよ!と怒ったあなた、当然ですが不正解です。
これはどういうことか、というと空き家が建っている土地は、大半のマンションやビルの敷地と違い、隣地との境界が確定していないのです。
つまり、隣地との境界が確定していない = あなたの所有する空き家の土地の面積(地積)が確定していないのです。
あなたの所有地が50㎡なのか100㎡なのか確定していなければ、買う側は値段がつけられないですよね?
所有する空き家の全ての隣地(道路含む)と境界確認書を取り交わし、確定測量を行い、あなたの土地の面積を確定させましょう。引渡条件を「現況有姿」といって所有地の地積が確定しないまま売却することも可能ですが、売り急ぎでない場合はお薦めしません。
よほど人気の好立地であれば別ですが、間違いなく足元を見られて安くなるからです。
次に建物です。
商品化と聞くと、土地だけではなく、老朽化した建物も修繕しなければならいのか!とお考えかもしれませんが、そこまで必要ありません。
買主がどのような用途で買うか分からないですし、建物に修繕費用などをかけて投資したところで、投資分がそのまま売却価格に反映されないからです。
やみくもに費用をかければ高く売却できるということではないのです。

空き家を売りたい、手放したい!その2 隣地との関係

空き家を売りたい、手放したい! 境界確認・確定測量①

前述より、商品化の一環として、まずはあなたが所有する空き家の地積を確定させましょう。
この行為は、空き家を売るためだけではなく、資産価値の向上には必須であるため、売却予定がなくてもやりましょう。
まずは隣地との「境界確認書」と「確定測量図」の有無を確認して下さい。
あなたの所有する空き家が築20年程度以内であれば存在する可能性は高いです。
もしくは隣地の建物が比較的新しい場合は、少なくともその隣地所有者とあなた、または前所有者との間で「境界確認書」が取り交わされている可能性が高いです。
ただし、商品化のための境界確認書は全ての隣地との間で取り交わされている必要があります。
一部の隣地との取り交わしがなければ、あなたの所有する空き家の地積が確定しないからです。
いや待てよ、「地積測量図」って図面があったなあ~、と思い出したあなた、なかなか鋭いです。
紛らわしいのですが、「地積測量図」と「確定測量図」は全くベツモノなのです。
地積測量図は法務局に備え付けれている公文書ですが、昔の測量技術で正確性を欠いていたり、隣地の立ち合いが必須ではないため、不正確です。
ただし、2005年3月7日以降に作成された地積測量図は隣地の立ち合いが必須となっているため、正確性が担保されています。
また図面の名称はこの2点以外にも「現況測量図」などがありますが、いずれも売却には役に立ちません。
隣地の立ち合いがないため境界が担保されておらず、ただ測っただけ、という図面だからです。

空き家を売りたい、手放したい! 境界確認・確定測量②

築年数が古い空き家においては、隣地との「境界確認書」と「確定測量図」がないことが多いです。
適当に測って、この辺までが自分の所有地や!と勝手に主張して家が建てられていた古き良き時代もあったんですねえ。
ところが今はそうはいかないのです。
しっかりと隣地所有者と境界を確定させなければいけませんよ。
そのような時代だったため、隣地と所有者立ち合いの下で測量したら、自分の土地だと思っていたのに、実は隣地だった、なんてこともあるので注意が必要です。
見てくれと実際の権利は違うこともあるのが不動産のコワイところです。
さて、あなたの隣地所有者は何人いるでしょうか?5人ですか?10人ですか?
少なくとも1人だけというのはかなりのレアケースで、一般的には複数います。
ゆえに「境界確認書」と「確定測量図」の取得、作成には膨大な時間がかかるのです!
隣地所有者が10人もいたら、み~んないい人だったらサイコーですが、まずそんなことはありません。
1人くらいはいいい人ではありません。
しかも東京の一等地であれば1坪何百万円、下手したら何千万円です。
金が絡めば人も変わるのです!
ということで、昔の株主総会のように、隣地との立ち合いは、しゃんしゃん、とは終わりません。
必ずモメル!と考えておきましょう。
もめない前提でも「境界確認書」と「確定測量図」の取得、作成には最速3ヵ月は必要です。
もめて境界確認書にハンコ押さない!という隣地所有者が現れたら?おめでとうございます!裁判になります。
こうなると1年はかかるんですよね~。
ということで、もめない前提のベストシナリオで半年間、もめたら1年以上かかる、と覚えておきましょう。
もめないためにも、ご近所付き合いは大事です。日頃から愛想よ~く挨拶しましょう。
顔合わせても知らんぷり、でも境界確認書にハンコ押してください!は都合良すぎるでしょう。

空き家を売りたい、手放したい!その3 建物はどうする?

さあ、建物です。あなたが所有する空き家は老朽化が進み、修繕しなければ住めない状態だとします。
この場合、売却するには費用をかけて住めるように修繕する必要があるのかなあとお考えかもしれません。
前述のとおり、買主が建て替えなど、どののような用途で買うか分からないですし、建物に修繕費用をかけて投資したところで投資分がそのまま売却価格に反映されないため、費用をかける必要はありません。
ではあまりに老朽化が激しい場合、解体してしまったほうがいいのでしょうか?
解体費用が余裕で賄えるのであれば解体してしまったほうがベターです。家を売る場合に、居住中のまま売るのか、退去して売るのかと同じ論点ですが、ビジュアル効果は大事です。
買う側にたって考えればわかり易いのですが、失礼ながら土地上に老朽化したボロい家が建っているのと、きれいな更地と、どちらに価値を感じますか?答えは言うまでもないですよね。
ただし、売却前の解体が必須かというとそんなことはありません。
解体費用も数百万円はかかるため、売却代金で賄いたいと考えることも一般的だからです。
上記の「境界確認書」「確定測量図」と異なり、できれば対応したほうが好ましいという十分条件の一つとお考えください。

空き家を売りたい、手放したいけれど、売れない!

売れない空き家はあるのでしょうか?
答えはイエスです。
ではなぜ売れないのでしょうか?
これは世間一般で取りざたされている通り、解体費が売却代金を上回る場合です。
そりゃ~誰も買いたくないですよね、そのような空き家は。
個人的には「空き家問題」という定義に問題を感じます。
解体費が売却代金を上回る空き家って、東京はじめ、都心部にありますか?
ないですよね。
東京などの都心部であれば敷地面積が1坪しかなく、その上に家がある、なんて小人の家はありません。
ですから空き家問題は東京などの都心部では問題にならないのです。
問題になるのは地価が激しく安い地方だけです。
そのような地方にある空き家は売れずに放置されます。価格が安くて儲からないので不動産屋も扱いたがらないのです。
売主である所有者以外は誰も興味がない空き家になれば、それは売れませんよね。
ですので東京などの都心部に空き家を所有しているあなたは全く問題ありません。
安心してください。
売れない要素があるとすると、相続人など複数人の所有者がおり、意志結集ができないという権利関係くらいで空き家そのものに問題があって売れない、ということはなかなか想定できません。

上記のように、空き家売却にはまずは商品化です。今すぐ始めましょう。
弊社では空き家の管理・運用の一環として、土地家屋調査士と連携し、「境界確認書」と「確定測量図」の取り交わしと作成をお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。

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tomita