ビル売却の注意点 ~築古中古ビル~
ビル売却の注意点 ~築古中古ビル~
誰もが羨むピカピカの新築ビルや、竣工して間もない築浅ビルを売却するビルオーナーはよほどの事情がないか、商売でない限りはそう多くないでしょう。
一般的にビルといえば中古ビルを指しますよね。
中古ビルという言葉も幅広いです。
人間でいうところの大人に近い概念です。
20歳以降、生きている間は大人です。
ビルも竣工後から中古です。
面白いのは銀行の見方です。
人間もビルも同じなんですね~。
今回は中古ビル、しかも築年が相当に経過した築古ビルの売却についてのコラムです。
築古中古ビル売却の注意点 その1 概要
みなさんは、築古、と聞くと竣工後何年くらい経過したビルを想像しますか?
10年ですか?20年ですか?30年ですか?
答えは、・・・・ないです。(笑)
業界の慣習で用いられる言葉なのでフィーリングってやつですね。
Chat GPTに聞いてみたら、16年以上または20年以上、となかなか厳しい回答でした。
おそらくは最もシビアな見解です。
やはりAIはおそろしいですねえ。
前述のとおり、画一的な定義はないのですが私の拙い経験則上は、やはり30年程度から築古と認識します。
本コラムでは築古=30歳以上、と定義します。
ですので50歳や60歳も築古に含まれます。
30歳と60歳は倍も違うのですが、カテゴリーとしてはかわいそうなことに同じなんですねえ。
人間でいえば、30歳はまあいいところ、おっさんですが、よほど成長が早いか老け込んでいない限りは、おじいさん、とは言われないですよね。
しかし、中古ビル界隈では、30歳から、おじいさん扱いです。
厳しい世界です。
築古中古ビル売却の注意点 その2 銀行の視点
人間の年齢と対比してビルの築年数を説明しました。
これは言いえて妙というやつでして、かなりの相関関係があります。
銀行が人間にお金を貸す場合にも、年齢、というのは大きな判断材料です。
実際に住宅ローンの完済年齢は満80歳です。
人間でもお金を借りる場合は若い方が有利なんですねえ。
人間とビルの大きな違いとしては、人間は部位を分けて評価しませんが(厳密には可能かもしれません、例えば、目がいいとか、頭がいいとか)、ビルは土地と建物に分けられます。
土地は年をとらない!
素晴らしい名言です!
しかし、銀行の評価は違うんです!
立地は考慮されますが、基本的には建物を中心に評価します。
試しに、土地を買いたいのでお金を貸してください!と頼んでみてください。
銀行員は間違いなく目が点になります。
で、土地の上に何を建てるのですか?と必ず聞かれます。
この質問に、あなたが、いやあ何も、ただ欲しいんです!持ってたいんです!、と言えば即終了です。
あなたが銀行の超VIPでもない限りは、お引き取りくださいです。
前置きが長くなりましたが、築古中古ビルを売買する場合、基本的に買主は銀行などからお金を借りて買います。
以前の相場コラムでも説明しましたが、ビルの税務上の法定耐用年数は構造と用途により、34年から50年です。
銀行はビル購入資金を貸す際には、一般的にこの耐用年数を参考に貸出期間を算出します。
法定耐用年数が50年のビルであれば、新築時には50年貸します!となるのです。
一方で築40年が経過した築古中古ビルには、10年(50年 - 40年、念のため)しか貸せません!となります。
この貸出期間は売買価格の構成要件として大変に重要です。
例えば、借りた元本を50年かけて返済するのであれば、年間の返済率は2%(1÷50)です。
一方で借りた元本を10年かけて返済するのであれば、年間の返済率は10%(1÷10)です。
この返済率(返済額)の差が売買価格に大きな影響を与えるのです。
買主は元本以外に利息も払わなければなりません。
支払利息が2%だとすると、年間の総返済額は、
50年であれば4%(元本2% + 利息2%)
10年であれば12%(元本10% + 利息2%)
となるのです。
投資家にしろ、自己使用の法人にしろ、この差はめちゃくちゃでかいのです。
購入資金を10億円借りたとすると、50年なら年間4千万円、10年なら年間1.2億円の返済額となります。
大きな差ですよね?
築古中古ビル売却の注意点 その3 施策
不動産の評価手法は複数あるのですが、前述より、現実的な不動産の売買価格算定にはローンという視点が必要不可欠なのです。
あなたが築40年、50年のビルオーナーであればこの事実を踏まえて売却戦略を立案しなればなりません。
ローンの期間が長くならない、ということは高値での売却が期待できないということにほかならないからです。
では築古中古ビルはピチピチギャル(築浅ビル)には敵わないのでしょうか?
残念ながら同じ立地という前提であれば敵いません。
定性的にデザインが気に入った!と高く評価する買主候補はいるかもしれませんが、銀行はそんなおセンチではありません。
彼らはドライに定量評価(築年数)一本です。
誰か銀行員に感情という新機軸を吹き込んでください。
築年数が銀行評価の主軸である以上、大規模修繕やリノベーション工事などで多額のお金を投下しても無駄ということになりかねないので注意が必要です。
投下した費用が売買価格に反映されないリスクが高いのです。
ですので個人のビルオーナーが築古ビルを売却する場合は、あまり建物に費用をかけないで売るという戦略をとるのがベストな可能性が高いです。
今回はいかがだったでしょうか?
銀行から見ると、人間とビルがこんなにも酷似した存在だったとは目から鱗だったのではないでしょうか?
築古中古ビルを売却する場合は、上記のような銀行の考え方を熟知する必要があるのです。
上記を踏まえ、弊社ではあなたが所有する築古中古ビルの最適な売却戦略を立案しますので、お気軽にお問い合わせください。
シン不動産DX株式会社の自社ビル・一棟ビル売却について
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