ビル売却の注意点 ~買主、特に投資家からの視点~

ビルを売却するにあたって注意点は諸々あるのですが、結局一番大事なのは買主がどう評価するかなんです。
ビルオーナーのあなたがどれだけ自分のビルはすごい!だから高く売れるんだ!と息巻いても買主が同じレベルで評価してくれなければ一人よがりになってしまいます。
では買主はビルの何を見るのでしょうか?
プロ投資家として数えきれないほどの不動産への投資経験と、同じく数多の不動産ファンドを組成し、プロ投資家と意見交換した私の知見も余すところなくお伝えします。
今回は意外に盲点かもしれない、買主、特に投資家の視点についてのコラムです。


ビル売却の注意点 買主の視点 その1 概要 

不動産の売買は取引です。
当たり前ですが、買主がいないと成立しません。
これは柔道と同じですね。
相手がいないと投げられません!
今までいろいろと売却の注意点を説明してきましたが、つまるところはここです。
恋愛でも同じですね。
独りよがりな言動はきらわれます。
ビル売却も相手(買主)がいることなので、常に相手がどう考えるか、感じるか、見るか、を意識しましょう。
具体的にどこを見るのかって?それは秘密、にはしませんので安心してください。
ざっくりと、①ハード面、②ソフト面、③競争優位性の3つです。
具体的にはハード面とは建物や設備の状態、ソフト面とは賃借人の属性・賃料水準などの条件・稼働率、競争優位性とはエリア内の競合物件と比較した場合の競争力です。
いずれも大切なのですが、どれが欠けても高い評価は得られません。
以下で各項目を説明します。

ビル売却の注意点 買主の視点 その2 ハード面

まずはハード面です。
あなたのビルの状態は、いつなんどき誰に見せても高評価を得られる自信がありますか?
あります!って思ったあなた、ホントですか?
評価は他人がするものだということをよくよく思い出しましょう。
外壁はきれいですか?
エントランスは輝いてますか?
共用部分は汚れていませんか?
掃除は行き届いていますか?
電球はきれてないですか?
鉄部に錆はありませんか?
窓、扉、エレベーターはキレイですか?
全ての設備は順調に稼働してますか?
前面道路はきれいですか?
修繕を計画的に実行していますか?
全て完璧です!と言いきれたあなは素晴らしいビルオーナーです。
これからはビルオーナーの鏡として全米ビルオーナー協会(あるかどうかは知りません)から表彰されるでしょう!
現実的に大半のビルオーナーはドキッとしたのではないでしょうか?
共用部分が薄暗いビルの空室率は高い傾向にあります。
テナントは明るい共用部が好きなんです!
明るいってのは電球のワット数じゃありませんよ。
清掃含め、明るく見える、って意味です。
人間と同じで外観や第一印象はとっても大事です。
どんなにお見合い写真がイケていても、現物がくすんでいればげんなりです。
一部のマニアやプロを除き、写真と資料をみて興奮していても購入意欲は一気に低下します。
中古車でも同じですよね。
金額がどんなに大きくなっても人間は所詮感情の生き物なんです。
建物の状態が良くなければ、買いたたく材料を与えることになります。
設備を含み、不具合や外観上問題がある部分は売却前にできる限り修繕しましょう。
修繕した場合は、修繕履歴として、いつ、どこをどのように修繕や洗浄したかの記録を残しておいてください。
このように記録を残すことで、買主からこのビルオーナーはしっかりと管理をしているという好印象を与えることができるのです。
また、日頃のメンテナンスや修繕は空室率や既存テナントの退去リスク改善に大きく寄与しますので、けちらず、めんどくさがらず、積極的に実行しましょう。

ビル売却の注意点 買主の視点 その3 ソフト面

難なくハード面をクリアしたあなた、次はソフト面へと進みます。
ソフト面とは具体的に賃借人の属性・賃料水準などの条件・稼働率と説明しました。
まずは賃借人(テナント)の属性です。
毎月賃料を期限内に支払ってますか?
滞納はないですか?
室内で寝泊りしているなどの契約違反はないですか?
買主は既存テナントの属性(業態含む)や賃料支払状況に非常に敏感です。
購入後は自らが貸主になるので当然です。
不要なトラブルや労力は避けたいからです。
次に賃貸借契約の条件です。
賃料は相場と比べて著しく高い、もしくは低くないですか?
どちらの場合も理由があるはずなので買主は気にします。
高いのはテナントの属性に問題があるのだろうか、同エリアに競合物件がないからだろうか。
低いのは空室期間が長かったからだろうか、躯体や設備に不具合があるのだろうか、などといろいろな邪推をするのです。
当然に理由はあるはずなので説明できるように整理しておきましょう。
レントロールといってテナントの概要をまとめた一覧表を作成し、常に一目で契約状況や賃料の支払い状況がわかるように整理しておきましょう。
既存テナントはいわずもがなですが、買主の最大の関心は稼働率(空室率)です。
賃貸面積ベースで90%以上稼働していれば合格です。
それほど大きな評価減はないでしょう。
90%を割り込んでくると買主は大変気にします。
80%を割り込むようであれば早急に対策を実施しましょう。
大幅な評価減です。
買いたたかれます!
募集賃料が高くないですか?
保証金が多額ではないですか?
設備が老朽化しているので放置していませんか?
空室率が高いビルは当然ながら理由があるのです。
早急に原因を解明し、稼働率を上げましょう。

ビル売却の注意点 買主の視点 その4 競争優位性

残念ながら、本コラムも最終章となってしまいました。
そんなに泣かないでください!
最後は競争優位性です。
この項目は主に買主が重視するのですが、売主であるあなたができることは残念ながら限られます。
例えば立地という項目であれば動かせないのでどうしようもないですから。
駅から近い、周辺にあなたのビルと同等規模のビルが少ない、築年数が新しいビルが多いので周辺賃料が高い、など買主はあなたのビルに、どのようなテナントが、どのような理由で、どの程度の賃料水準で、どの程度の期間入居するかを分析するのです。
いやらしいですねえ~、投資家ですね~。
当たり前です。
多額の借金をし、多額の金額であなたのビルを購入するのですから。
あなたができることは、ハード面で書いたとおり、とにかく建物と設備のコンディションを良好に維持することです。
同じような競合物件が数多ある場合、これだけで大きなアドバンテージとなります。
また、ハード面を良好に保っていれば、必然的に優良なテナントが入居してくれます。
一石二鳥ですね!
ハードのコンディションが悪いと、買主は多額の修繕費を計上することになるため、必然的に購入金額は安くなります。
ツケは誰かが払わなければならないのです。
一方で立地という圧倒的なアドバンテージがあれば、それは大変な競争優位性となります。
建物は建て替えればいいのですが土地は変えられないですから。
誰が見ても好立地!という幸運なビルオーナーのあなたは立地に感謝して胡坐をかいてもいいかもしれません。
まとめとしては、周辺エリアの競合物件を一通り把握し、所有ビルの競争優位性を一つでも創り出しましょう。

今回はいかがだったでしょうか?
目から鱗が落ちた方も少なくはなかったのではないでしょうか?
相続などで図らずもビルオーナーとなった方は特に参考になったのではないでしょうか?
高値売却には買主の視点でビルを評価することが必要不可欠です。
上記を踏まえ、売却するしないは関係なく、弊社ではあなたが所有する築古中古ビルの運用戦略を立案しますので、お気軽にお問い合わせください。

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