空き家が売れない!どうしたらいい?よくある相談とリスク

相続などで受け継いだ空き家。東京などの都心部にある空き家であれば資産価値が高く、煮るなり焼くなり、ではなく、売るなり貸すなり、とどうにでもなります。一方で地価が安い地方の空き家の場合、建物の状態や解体費の問題で貸すに貸せない、売るに売れない、という状況が発生します。残念ながらこのような状態の空き家を所有している場合、どうすればいいのでしょうか?

今回のテーマは「売れない空き家対策」です。


売れない空き家、どうしたらいい? その1 概要

東京都心部の空き家だったらよかったのに!と考えてもいたしかたありません。不動産で絶対にできないことは物件の移動だからです。税金などの維持費用がかかるし、建物の老朽化も著しいので早く手放して楽になりたい!と考えるのがフツーです。でも売るに売れないからどうしようかと頭を抱えるのが、まさに空き家問題です。
売るに売れないから放置される → 空き家が増える → 空き家問題に発展する 
というのが現状です。ここで一番やってはいけないのが、放置、です。放置はリスクでしかなく、あなたのメリットがあるとすれば、問題と費用の先送りだけです。万一不幸にも空き家が他人様に迷惑をかけてしまった場合は大きな代償を払うことにもなりかねません。
では現状では売れない場合、どうすればいいのでしょうか?
大別して3パターンの対処法があります。
まずは費用をかけたくない人向けの対策ですが、無償譲渡という方法です。これは文字通りタダで差し上げることを意味します。大切な資産を赤の他人にタダであげるのか!と憤ったあなた、落ち着いて下さい。売ったら赤字のモノをタダで引き取ってくれるなんて、神のような人間です。万一みつかった場合には丁重にお礼を言いましょう。
次に解体して更地で売る(または無償譲渡)方法です。これは下手したら解体費が持ち出し(赤字)になりますが、社会のためにも将来的なリスク回避のためにも必要経費と考えて割り切るしかありません。更地であれば解体費がかからないので、家を建てる、物置として使う、などの用途の買主が現れるかも知れません。
最後は賃貸するです。空き家では売れなくても、賃貸して収益物件化することで投資家様の目にとまります。賃貸することで物件の資産価値を一気に高めるのです。

売れない空き家、どうしたらいい? その2 無償譲渡

各自治体が「空き家バンク」という空き家のプラットフォームを運営しており、こちらで譲受人を見つける方法です。費用がかからず処分できるので、夢のようなシステムですがそんなに甘くはありません。売れないものがタダになったところで価値はそれほど変わらないからです。そんなに簡単に譲受人は表れません。
ジモティなどの民間のマッチングプラットフォームも有効な手段です。所有していても赤字垂れ流しの状態であれば、費用をかけてでも処分してしまったほうがあなたにはメリットがあります。ジモティなどで、「引き受けてくれれば、お金を払います!」、という条件で譲受人を探す方法もあるのです。タダな上に、お金まで払うのはいやだなあ~と考えるかもしれませんが、よく考えてください。売れないからと放置して大きなリスクを抱えるよりはさっさと手放して精神的にも開放され、新たな所有者のもとで有効に利用されることの方が社会的にも大きなメリットとなるのです。
相続の場合に限定されますが、「相続土地国庫帰属制度」が新たにスタートしました。平たく言うと、お国にタダで献上します、という制度ですが、お上もそんなに優しくありません。なんでもござれ!ではないのです。いくつか要件がありますが、更地である必要があります。さらに10年分の土地管理費相当額を負担金として納める必要もあるのです。結局は費用がかかる、ってことです。

売れない空き家、どうしたらいい? その3 解体・更地売り

経済的に余裕があれば老朽化した空き家を解体して更地にしてしまいましょう。前述のとおり、建物がある場合はとにかく取り得る選択肢が限られてしまい、ひたすらに足元を見られます。最悪は引き取ってもらうことすらできないのです。解体費はどのくらいかかるのかなあ~と心配になると思いますが、一般的な木造住宅であれば200万円もあれば解体できます。100万円の価値しかない土地で200万円の解体費用は完全に持ち出しとなりますが、しかたありません。必要経費です。老朽化した空き家を放置した結果、平成27年にスタートした「特定空き家」に晴れて指定されてしまえば固定資産税の減額もなくなり、デメリットとリスクしかない状態になってしまいます。まずは複数の解体屋さんから見積を取りましょう。見積を取れば費用を含めた現状の課題が把握でき、対策が練り易くなります。

売れない空き家、どうしたらいい? その4 賃貸→売却

売れない空き家を貸すことはできるのでしょうか?答えはイエスです。ただし、簡単ではありませんし、費用はかかると考えてください。手放したいのに賃貸したら売れなくなるじゃないか?と考えたあなた、安心してください。ことを性急に判断しすぎです。いきなり売却!ではなく、2段階で攻めるのです。どういうことかというと、まずは賃貸することで収益化します。その後、収益物件として投資家に売るのです!なんと美しいストーリーではないでしょうか!投資用に収益物件化することであなたの空き家の流動性(売却可能性)は飛躍的に向上します。自己居住用(実需)でのニーズがなくても、賃貸することで投資不動産市場に流通させることができるからです。投資不動産市場では利回りが判断材料です。逆にいえば利回りさえ作ってしまえばどんな不動産でも売れる、ということになるのです。
賃貸するには①修繕費をかけて貸す、②修繕費をかけないで貸す、の2パターンがあります。お金をかけたくないあなたは迷わず、②修繕費をかけないで貸すを選ぶと思いますが正解です。①修繕費をかけて貸すは最後の手段です。昨今はDIYや田舎暮らしブームのため、賃貸募集をする際には、「リフォームフリー(賃借人の費用負担で自由にリフォーム)」、と謳って募集するだけで、奇特な賃借人が自腹で建物をキレイにしてくれます。もちろんその分家賃は安くなりますが、持ち出しがないだけ儲けもの。賃借人が入居し、収益物件化した後に、家賃収入を得ながらじっくり売ればいいのです。

上記のように、やりようはありますので売れない空き家でもあきらめて放置しないでください。地方の空き家は売買価格が安いため、不動産屋が扱いたがらないことも空き家問題を助長する一因です。不動産屋に相談してもけんもほろろとなる可能性が高いため、ご自身で十分に情報収集し、対策してください。

Follow me!

投稿者プロフィール

tomita