空室対策 ~中古ビルのリノベーション~
中小規模のビルオーナーで、建物の老朽化で空室が目立ってきた、なかなか空室が埋まらない、と頭を抱える方も多いのではないでしょうか。売却を考えていても空室が多いと収益物件としての価値は下がってしまい、高値での売却が難しくなります。借入金がなければ空室が増えても債務不履行にはなりませんが、オーナー様の精神衛生上も社会的な観点からも健全ではありませんよね。老朽化したビルはリノベーション(大規模修繕)を施すことで生まれ変わることができます。今回は中小規模の築古ビルでよくある、空室対策としてのリノベーションについてのコラムです。
空室対策としての中古ビルのリノベーション その1
リノベーションという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
この用語は比較的最近になって使われ始めました。
リフォームとなにが違うのですか?という質問が聞こえてきそうですが、結論としてはほぼ同義です。
そもそ英語の「リフォームreform」という単語には建物の修繕や改修という意味はありません。
完全に和製英語なのです。
ひと昔前のリフォームが現代のリノベーションと理解して頂いければ結構です。
あとはなんとなく、リフォームは家に対して使う、リノベーションはビルにも使う、といった感覚程度です。
また、リノベーションは修繕よりも改修というニュアンスが強くなります。
ですのでリフォームよりもリノベーションを使ったほうが、攻めの感じがして、なんとなく響きがステキでしょうかね。
言葉の定義はこのへんにして、肝心の内容です。
老朽化したビルは空室が発生し易いです。
当たり前ですが、テナントは新しくて設備が充実しているビルを好みます。
もちろん賃料との見合いで選ばれるのですが、新しいビルと比べて競争優位性は賃料と、ビルによっては立地くらいしかないことが多いです。
そうなるとテナントの募集には苦戦を強いられます。
古い設備、古い間取、暗い空間、などネガティブな要素のオンパレードだからです。
こうなると賃料が安いから!という以外に決め手は見つかりません。
残念ですがこれが現実です。
不動産屋に客付けがんばれ!と発破をかけても暖簾に腕押し、糠に釘です。
テナントからは老朽化していることをいいことに、ゴリゴリと条件交渉された挙句に、他のビルに決めました!と明るく突き放されて終わります。
なにか起死回生の方法はないのでしょうか?
立地さえよければ、賃料を地域最安値に設定し、敷金を下げるなどの諸条件の対応で入居してもらえる可能性はありますが、好立地でない場合は厳しいです。
そうなるといよいよ建物をリノベーションする、という選択肢の登場です。
空室対策としての中古ビルのリノベーション その2
いよいよリノベーションの説明です。リノベーションは大規模修繕の内容も含む、と理解して下さい。
違いとしては、大規模修繕工事は老朽化した機能の復元がメイン、リノベーションは最新設備の導入など付加価値工事も含むといったニュアンスです。
では老朽化が進み、空室が目立つ中古ビルのリノベーション工事は一体どの程度行えばいいのでしょうか?
実はこの論点は非常に難しいのです。
痛みを修復する修繕の範囲内で工事を行っても付加価値は上がらず、空室を埋めることは難しいです。
なぜならば昔のビルの仕様のままで新築時に戻ったにすぎず、デザイン的にも機能的にも新しいビルの仕様にはならないからです。
一方で建物や設備の状態は非常に重要なので、やらないよりはやったほうが絶対にいいです。
同じような築年数、仕様のビルであれば、しっかり修繕工事を行っていて、良好な状態が維持されているビルのほうが選ばれるからです。
空室対策として効果的なリノベーション工事はどのような内容なのでしょうか?
空室対策としての中古ビルのリノベーション その3
修繕工事も多額の費用がかかります。
屋上防水だけでも数百万円、外壁洗浄と塗装でも数百万円と湯水のごとくお金がかかります。
機能の修復と補修は原価が決まっているため、節約にも限界があるからです。
リノベーション工事は機能に限らず、デザインで勝負することも可能です。
テナントが使用する専有部分は、構造躯体といって柱、梁、壁などがあり、改修にも制限があります。
例えば天井高は変えられない(低くすることはできますが)、柱や梁は抜けないなどです。
費用対効果が高いリノベーション工事は共用部分に対して行う内容です。
例えばエントランス周辺のタイルを変える、木目調にする、明るい色で塗装する、ポストをモダンな感じにする、などです。
ものすごく割り切った言い方をすると、オフィスなどの事業用物件は専有部分の内装はテナントが勝手に行うため、ビルオーナーは工事内容を確認する程度で十分です。
それよりもエントランスやトイレ、キッチン、エレベーターホールなどの共用部分を明るくおしゃれで機能的にすることでテナントから選ばれる物件に生まれ変わることができるのです。
空室対策に効果的なリノベーションについて書きましたがいかがでしょうか?
理屈はわかったし、やってみたいけど、費用の工面がなあ、と考えている方は無理に対応する必要はないかもしれません。
リノベーション工事も結局は費用対効果なので、工事に多額のお金をかけるよりも賃料を下げるほうが投資効率が高いこともあります。
ただし、投資用の収益物件として売却する場合は、テナントの賃料が高いほうが間違いなく高く売れます。
この辺はオーナー様の人生設計にもよりますので一概にどのような対策がベストとは言えません。
弊社ではオーナー様の立場でお悩みを共有し、現実的な解決策をご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。
シン不動産DX株式会社の自社ビル・一棟ビル売却について
シン不動産DX株式会社は自社ビル・一棟ビルの売却をサポートする不動産会社です。
「築年数が経ってなかなか売れない」「空室が多くて売りにくい」などのビル売却のお悩みに専門スタッフが最適なご提案をします。
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