ビル売却の注意点 ~土地の境界確認~

ビルを売却するにあたって注意点は諸々あるのですが、盲点となるのが土地の境界です。
オフィス街の大規模ビルはまず問題にならないのですが、町の中小規模の中古ビルでは結構問題になります。
あなたが所有する中古ビルの土地の境界は確定していますか?
今回は意外な盲点、土地の境界についてのコラムです。


ビル売却の注意点 ~土地の境界確認~ その1 商品化 

ビルを売りたい!となったときに、あなたはまず何をしますか?
片っ端から不動産屋に電話ですか?
サイトから一括査定ですか?
知り合いに相談ですか?
答えは全て違います。
まずは商品化が必要です。
商品化?となったあなた、当然です。
既に商品化してるよ!と怒ったあなた、当然ですが不正解です。
これはどういうことか、というと築古の中小規模ビルの土地は築浅ビルや大規模ビルの敷地と違い、隣地との境界が確定していない可能性があるのです。
つまり、隣地との境界が確定していない = あなたの所有するビルの土地の面積(地積)が確定していないのです。
あなたの所有地が50㎡なのか100㎡なのか確定していなければ、買う側は値段がつけられないですよね?
所有する土地の全ての隣地(道路含む)と境界確認書を取り交わし、確定測量を行い、あなたの土地の面積を確定させましょう。
引渡条件を「現況有姿」といって所有地の地積が確定しないまま売却することも可能ですが、売り急ぎでない場合はお薦めしません。
よほど人気の好立地であれば別ですが、間違いなく足元を見られて安くなるからです。

ビル売却の注意点 ~土地の境界確認~ その2  

前述より、商品化の一環として、まずはあなたが所有する土地の地積を確定させましょう。
この行為は、ビルを売るためだけではなく、資産価値の向上には必須であるため、売却予定がなくてもやりましょう。
まずは隣地との「境界確認書」と「確定測量図」の有無を確認して下さい。
あなたの所有するビルが築20年程度以内であれば存在する可能性は高いです。
もしくは隣地の建物が比較的新しい場合は、少なくともその隣地所有者とあなた、または前所有者との間で「境界確認書」が取り交わされている可能性が高いです。
ただし、商品化のための境界確認書は全ての隣地との間で取り交わされている必要があります。
一部の隣地との取り交わしがなければ、あなたの所有する土地の地積が確定しないからです。
いや待てよ、「地積測量図」って図面があったなあ~、と思い出したあなた、なかなか鋭いです。
紛らわしいのですが、「地積測量図」と「確定測量図」は全くベツモノなのです。
地積測量図は法務局に備え付けれている公文書ですが、昔の測量技術で正確性を欠いていたり、隣地の立ち合いが必須ではないため、不正確です。
ただし、2005年3月7日以降に作成された地積測量図は隣地の立ち合いが必須となっているため、正確性が担保されています。
また図面の名称はこの2点以外にも「現況測量図」などがありますが、いずれも売却には役に立ちません。
隣地の立ち合いがないため境界が担保されておらず、ただ測っただけ、という図面だからです。

ビル売却の注意点 ~土地の境界確認~ その3  

相続などでかなり前に所有権を取得したビルの土地は、隣地との「境界確認書」と「確定測量図」がないことが多いです。
適当に測って、この辺までが自分の所有地や!と勝手に主張してビルが建てられていた古き良き時代もあったんですねえ。
ところが今はそうはいかないのです。
しっかりと隣地所有者と境界を確定させなければいけませんよ。
そのような時代だったため、隣地と所有者立ち合いの下で測量したら、自分の土地だと思っていたのに、実は隣地だった、なんてこともあるので注意が必要です。
見てくれと実際の権利は違うこともあるのが不動産のコワイところです。
人間と同じですねえ。
さて、あなたの隣地所有者は何人いるでしょうか?5人ですか?10人ですか?
少なくとも1人だけというのはかなりのレアケースで、一般的には複数人います。
隣地所有者がみなさん都合よくそこに住んでいる可能性は低いです。
海外に行ってしまって連絡がつかない、死亡して相続されたが相続登記が未登記なんて状況があれば、境界確認に立ち会ってもらうことは困難極まりないのです。
ゆえに「境界確認書」と「確定測量図」の取得、作成には膨大な時間がかかるのです!
隣地所有者が10人もいたら、み~んないい人だったらサイコーですが、まずそんなことはありません。
1人くらいはいいい人ではありません。
しかも東京の一等地であれば1坪何百万円、下手したら何千万円です。
金が絡めば人も変わるのです!
ということで、昔の株主総会のように、隣地との立ち合いは、しゃんしゃん、とは終わりません。
必ずモメル!と考えておきましょう。
もめない前提でも「境界確認書」と「確定測量図」の取得、作成には最速3ヵ月は必要です。
もめて境界確認書にハンコ押さない!という隣地所有者が現れたら?おめでとうございます!裁判になります。
こうなると1年はかかるんですよね~。
ということで、もめない前提のベストシナリオで半年間、もめたら1年以上かかる、と覚えておきましょう。
もめないためにも、ご近所付き合いは大事です。
日頃から愛想よ~く挨拶しましょう。
顔合わせても知らんぷり、でも境界確認書にハンコ押してください!は都合良すぎるでしょう。

今回はいかがだったでしょうか?
目から鱗が落ちた方も少なくはなかったのではないでしょうか?
相続などで図らずもビルオーナーとなった方は特に参考になったのではないでしょうか?
上記のように、土地売却にはまずは商品化です。
今すぐ始めましょう。
弊社では土地家屋調査士と連携し、「境界確認書」と「確定測量図」の取り交わしと作成をお手伝いしますので、お気軽にご相談ください。

シン不動産DX株式会社の自社ビル・一棟ビル売却について

シン不動産DX株式会社は自社ビル・一棟ビルの売却をサポートする不動産会社です。
「築年数が経ってなかなか売れない」「空室が多くて売りにくい」などのビル売却のお悩みに専門スタッフが最適なご提案をします。

Follow me!

投稿者プロフィール

tomita